新島現代ガラスミュージアム


1988年から毎年開催されている、新島国際ガラスアートフェステ ィバルでのワークショップや、公開デモンストレーションで制作、寄贈された作品を常設展示するために、新島現代ガラスアートミュージアムは作られました。 
ミュージアムは平成八年の八月より一ヵ月間の無料一般公開の後、九月一日より正式にオープンしました。収蔵作品はアメリカで生まれたスタジオガラス・ムーブ メントの開拓者達や(かれらはまた現代ガラスの先駆者でもあるのですが)現在、ガラスアートの世界に強く影響をあたえているアーティスト達が新島で競い、また合作制作した、大変貴重なオリジナル作品群です。

アメリカ初の人間国宝に指定されたピルチャック・ガラススクールの創立者デイル・チフーリ 氏、イリノイ州立大学やケント州立大学でガラスのプログラムを開講し、教育者としてあるいは作家としても息の長い活動を続けているジョール・フィリップ・マイヤー氏やヘンリー・ヘイレム 氏(かれらはまた1981年から3年間、アメリカへガラス留学した時に出会い、親交を深め触発され、いつの日か日本に紹介したかった現代ガラスのパイオニア・アーティスト達でもあるわけですが)を始めとして、ベンジャミン・ムーア氏、ダンテ・マリオーニ氏、ルース・キング氏ら現代のガラスアートを担う第二、第三世代のアメリカの作家達、アイスランド、イタリア、イギリス、チェコ、オーストラリア、オランダ、日本などの国際的に評価の高いガラスアート作家達の作品で、約40点が常設展示されています。
なかでもウィリアム・モリス 氏とルチオ・ブバッコ 氏の手によるコラボレーション(共同制作)の作品は、アメリカとイタリアを代表する、ブローイング(宙吹き)とランプワークの両マエストロが新島で出会い、その卓越した技術と精神で制作されたもので、作家にとっても大変貴重な作品となっています。コラボレーションは他のアーティストやガラスアートセンターのスタッフ間でも積極的に行われており、これらの作品は新島現代ガラスアートミュージアムの特色となっています。

この九年間の新島国際ガラスアートフェステ ィバルに参加した国内外の著名なガラスアーティストを始め、アシスタント、新島ガラスアートセンタースタッフらが寄贈した作品は八十点以上にものぼっています。今後も作品は増えていくことが予想され、それらをより良い展示環境で一般の人達も見近に見ていただけるように、また新島村の地域文化の育成や観光資源として活用されていくようにとの、新島村の願いがミュージアムにはこめられています。
ミュージアムの基本的な維持管理経費は入場料で賄われ、作品の展示や管理は新島ガラス協会のボランティア協力によって行われています。運営組織や企画経営の仕方など、今後早急に取り組まなければならない事項は山積されていますが、この貴重な資産をまえに、私たちが協力しながらその活用を見い出して行くことが、彼等ガラスアーティスト達へのなによりの返礼であり、大きな励ましとなるでしょう。

他と比べても設備や機能もまだまだ不十分な小さなミュージアムですが、新島にしかないガラス素材とここでしか生まれない作品をつくる空間があります。フェスティバルに参加して、アーティストと貴重な時間や空間を共有するもよし、いつか来て残された作品ときままに向かい合って見てもよし…。  



野田 收

新島ガラスアートセンター・ディレクター


I インデックス I English text I